2013年2月11日月曜日

十分に寝ていますか?

敬愛する人のひとり、サティシュ・クマールさんが2007年に東京に来たときの講演を収録した本「土と心と社会」を再び開いています。その中に講演会の会場から次のような質問があったことが記されています。

質問:働きすぎという話がありましたが、エコロジストや平和活動家や人権活動家といった人たちも働き過ぎで倒れそうな状況です。どうすればいいのでしょう?

それに対してサティシュさんの返事は・・・・

「私たち環境活動家は量としての時間を、もっと質、時間の質ということに考え方をシフトした方がいいと思います。あのガンディーでさえ、1週間に1日、金曜日を完全な沈黙の日としていました。もちろん環境活動家も一生懸命働くことは大切です。しかし、十分に寝なければなりません。眠るということはスピリチュアルな行為です。

昔、ペルシァの王様がスーフィー教の賢者に質問しました。「教えてください。私がなし得る最も重要な仕事は何であるか」と。賢者は「陛下、できるだけ長く寝なさい」と言いました。「何を言うか、わしは人民のために眠る暇もなくやっているではないか」と王は反論しました。それに対して賢者は、「あなたが眠る時間が長ければ長いほど、圧政は減ります」と。

これは私たち環境活動家にとっても非常にいいアドバイスではないでしょうか?私たちは働くのに応じて、よく寝る。そして、結果にこだわらない。私たちがやっている行為そのものを信じるのです。確かに状況は非常に緊迫しています。その分、私たちはより大きな、寛容な心を持つ必要があります。逆説的と映るかもしれません。しかし、私たちが倒れてしまったら、いったい誰が環境運動を担うのでしょうか。

環境に関心を持ち、行動している人たちは、是非自分自身を大切にしてください。そして、お互いを大切にしましょう。社会を良い方向に変えようとする私たちが助け合って、支え合う。そして、みんなが良いエネルギーに満ちて、元気で、健康でわくわくとしながら事に当たれるようにしなければならないと思います。疲れ果てている環境活動家のやれること、作れる社会というのは大したものではないのです。」

そうだ! 寝よう・・・、みなさん、おやすみなさ~い。

2013年2月9日土曜日

個人的変遷の違いを認め合おう

 今、私たちはこれまでの人生で得た経験をもとに、さまざまな動機付けから運動に積極的に参加しています。それはなんてすばらしいことでしょう。

 個々の動機付けは異なっていても、このような社会活動に参加することで、それぞれが新たに個人的な変遷の段階を経験していくことになります。

 そして私たちの運動を実り豊かなものとするためには、それぞれが違う段階にいるということを理解しなければなりません。私はこれが組織(団体)をつくるにあたっての最重要ポイントだと考えています。

 反対に多くの組織(団体)は、参加者全員に同じ段階であることを求めはじめたときに崩れ出すと言えます。

 参加者のなかには、一番有効と考える方法で行動を起す準備ができていても、他の人たちはまだ十分にそれを理解できずに、「何故こんな簡単なことが分からないのか」と言われて行動が萎縮している人がいるかもしれません。

 参加者のなかには、いろんな人がいて、多様な個人的変遷のなかにそれぞれがいます。

 放射性物質の拡散を止めるには、常に新しい人の参加が必要です。私たちの活動努力は学習からアクション、そして希望する未来の獲得へとつながるものでなければなりません。また個人的な怒りから組織された力へと展開できるようにリードしなければなりません。

 そのためには参加者それぞれの個人的変遷の違いを理解し、認め合いましょう。私たちのネットワークは、そのことを大切にして活動したいと思います。

2013年2月3日日曜日

「ノーモア」に祈りと決意を込めて

 ネットワークの名前について考えている。「ノーモア放射能」と聞いて、人は何をイマジネーションするのだろうかと・・・・・

 よく耳にする「ノーモア広島・長崎」  では、「~は二度とくりかえさない」「~はもうたくさんだ」という意味で "NO MORE" が使われている。当然、「ノーモア放射能」においても同じ意味なのだが、その命名は今日の私たちを脅かしつつある【放射能安全神話】を意識してのことであった。

 大方の御用学者の方々は、「すでに私たちのまわりには放射能がたくさんあります。だから少々放射能が環境中に増えても大丈夫です」というような結論めいたことを話す。でも、それを聞いてもなんか腑に落ちない。直感で「ヘンだな~」と思った。

 「ノーモア放射能」のキャンペーン開始宣言文(2012年2月14日発表)の中に、以下の文章が含まれていた。

 「見えない放射能はすでにたくさん私たちのまわりに存在しています。自然放射能、核実験に由来する放射能、スリーマイルやチェルノブイリ原発事故で放出された放射能など・・・。それらに加えて、福島第一原発事故の大事故に由来した大量の放射性物質の降下。食品に入り込んだ放射能。人類が管理できない放射能が私たちの生活空間に大量に放たれています。ただそれは見えないだけなのです。
 もう私たちは十分です。これ以上の放射能はいりません。
 子を生み育て、命をつなぐ環境が放射能で破壊され、地球上に命が誕生してから続いてきた生命維持活動が機能不全となる未来を、子や孫、その後に続く世代に残すことはできません。」

 このキャンペーン開始宣言文を書いたとき、漠然とした不安があったが、今はその不安が解消されずに、さらに拡大してきている。

 「ノーモア」の言葉の響きは、「祈り」に近いものだったかもしれない。しかし、今、その言葉の響きは、私が出合った多くの広島・長崎原爆被害者の力強い「決意」に連なっていくのだ。忘れることができない彼らの決意を今一度、私は「ノーモア」に込めたいと思う。

ノーモア 広島
ノーモア 長崎
ノーモア ビキニ
ノーモア スリーマイル
ノーモア チェルノブイリ
ノーモア 福島
ノーモア 被爆者
ノーモア 被曝労働者
ノーモア 核兵器
ノーモア 核実験
ノーモア 原発
ノーモア 放射能